★電波届かないガラケ480句
○春雨や一夜の夢を一眠り
○春雨やわが名をあげよ一ノ太刀
○春雨やけふ大原の花となれ
○春雨に只立ちつくせ一ノ太刀
○都々逸の歌を枕に桜かな
○春雨や宇宙を知った利休めは
○春雨に茶器を知りたる利休めは
○白むめやこの世の終のいづくへと
○白むめや黒髪の世のみだれたる
○葛飾と名乗りあの世の桜かな
○幸若の夢まぼろしや春の月
○おぼろ夜や鼠の声も聞こえたり
○おぼろ夜やすがた盗まん足の影
○足音やたたづに盗め春の月
○誰しれずこころや盗め春の月 ○君や出て触れず盗まん春の月
○君ふれず盗むがごとし春の月
○また明日も飽きることなく春の波
○けふ出逢ふ歩幅やあすも春の波
○春雨や浮世の筆を置きにけり
○春風やいま西行と共にあり
○春風や塔もはるかに見えにけり
○東京や春風に添い友とカフェ
○春風や萬葉の間の吹くここち
○春月を盗まんとする女かな
○朧夜や雲の姿もなかりけり
○新しくいのちのこぼれ春の闇
○触角のしづかに伸びて春の闇
○新年や漆の上の松結び
○一月のほのかに濃くもなりにけり
○一月やまもなく親しき人のあり
○初富士になにやらうれし句帖かな
○一月や親しき人と小買出
○一月や親しき人と帰りけり
○一月のながれてはゆく神代かな
○一月や生まれて国の美しき
○初富士をしづかに開くる障子かな
・○姿勢よく腰を据えたり鏡餅
・○正面に御霊の寄せて鏡餅
・○正面に顔を見せたり鏡餅
・○まんまると神もこもれる鏡餅
○正面に一夜を明けて鏡餅
○正面の床に正く鏡餅
○元日や庭うつくしく縁起物
○元日に参道きよき縁起物
・○元朝に見下ろす山をのぼるかな
○元朝に灯す明かりの後始末
○元日や馴染みの深い縁起物
○初日より一日過ぎて二日かな
○初春の先に踏み出す恵方かな
・○初鶏や古事記を灯す薄明かり
○羽子板や空に澄みゆく行き違い
○・福引の白湯一杯も冷めにけり
○福引の人気に消えた飾かな
○下の句の心の浪や歌留多とる
○大空にこれなつかしき初笑
○裏白や添えて気持ちの覚えたる
・○歯朶飾る竈や神も生まれけり
○無沙汰なる歯朶をかけたり山の神
○掃れたる竈正しき歯朶飾る
・○漆黒に竈や満ちて歯朶飾り
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★電波届かない携帯
○向日葵や炎のごとく命立つ
○裏白に歯のなき父母や神の棚
○裏白や夫婦のごときつややかさ
○裏白に何を据えるや古来より
○裏白の主役になりし飾りかな
○農村の松や枝のみ歯朶飾る
○大空に雷鳴とどく独楽廻し
○美しき独楽捨てられて筋交いに