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雀の子
○雀の子夕暮となり母と鳴く
○雀の子大仏殿の膝の上
○夕暮れて藪に鳴くなり雀の子
○雀の子あそび疲れて藪の中
○雀子になにやら親し江戸の人
○母の無き二人であそべ雀の子
○黄雀や松に吹かれて帰るなり
○下町にうまれた雀踏めや踏め
○雀の子向島より二つ駅
陛下に^^
○行く末をただひたすらに新嘗祭
○神の居ぬ灯す斎火や新嘗祭
○新帝の国を祈りし大嘗祭
○新帝の掌にある大嘗祭
○一代に一度告げたり大嘗祭
○取り壊すひとときにあり大嘗祭
○照されし国の灯や大嘗祭
○新帝の掌にある稲穂かな
○こぼれなき国の姿や大嘗祭
○おろそかにできることなき新嘗祭
○暮れて夜や明けて朝なり新嘗祭
○寝てる間も祈りし人や新嘗祭
○はかなさの上の祈りや新嘗祭
○八百万神を送るや新嘗祭
○神の居ぬ神をむかへし新嘗祭
桜貝
○さびしさの遠くの海の桜貝
○さびしさや手の中にある桜貝
○謳われて息づく波や桜貝
○拾われてあのひの波や桜貝
ハンカチ
○ハンカチを忘れてないか古代都市
○ハンカチを落としみたり紀元前
○ハンカチや届いてをるか地中海
夏の空
○夏空や装飾品をそばに置き
桜鯛
○散りゆくや一本道よ桜鯛
○なにごとも瞳の中の桜鯛
○波音に散りゆく人や桜鯛
○笑ひ合う頬に鱗や桜鯛
○まもなくやさびしく道を桜鯛
○通学路声かけ合ふて桜鯛
○あの人の大好きだつた桜鯛
○美しき二の腕太き桜鯛
○花見鯛ちいさき町の化粧かな
○花見鯛けふも電車の通り路
○爼板に年輪ありし桜鯛
○花見鯛おとす鱗や波の音
○花見鯛おとす鱗や恋となれ
○あの人に住んで欲しいや桜鯛
螢烏賊
○螢烏賊よるの銀座となりにけり
○漆黒の銀座の街や螢烏賊
○海中を祝捧ぐる螢烏賊
○少年の如くに光る螢烏賊