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春日
◯仰ぐれば少年のよな春日かな
蒲公英
○蒲公英をさとして白き綿毛かな
○吹く先に黄色いたんぽぽ咲いてをり
○たんぽぽの絮につまんだ娘かな
○蒲公英やながれて雲はところどころ
○蒲公英や告げて新し恋人あり
○蒲公英やおやつの時間チャイム鳴り
○たんぽぽと隣の人や帰りけり
○蒲公英に農民たちの暮しかな
○蒲公英や若い娘の指先に
犬ふぐり
○ただ一人あすになにみぬ犬ふぐり
○風吹けば焦がれてゆるる犬ふぐり
○なじみなるむすめの恋や犬ふぐり
○はじらいのたがいの指や犬ふぐり
○中宮の笑ひの主や犬ふぐり
○土器を投げる名所や犬ふぐり
冬薔薇
○道のべの舞台となりし冬薔薇
○獄中に我が芸術の冬薔薇
冬の蝶
○凍蝶や洗礼盤にあとわづか
秋風
◯お決まりのカフェに席あり秋の風
◯この味に2曲1ドル秋の風
◯秋風や香り高きを持ち帰り
◯秋風や刻む夢へと駅の中
◯秋風や乗り掛けられた自転車あり
◯秋風に可能性みるビルの群
○秋風や時代は彼を待ている
○秋風に時代や彼を待わびる
◯刻み込む歴史の中や秋の風
○秋風にビジネスマンの近き顔
○秋風に紡ぐ時代の兆しかな
○秋風にめくれて時や物語る
○秋風に想いや落ちる交差点
◯街路樹も映画となりし秋の風
秋深し
◯くり貫いて菓子はいずこの秋深む
秋の朝
◯あたたかきカフェではじまる秋の朝
秋の雲
◯ボロを着て秋の雲なり街の中
秋の空
○焼き菓子や袋に入れて秋の空
○俺たちのこの手で作る秋の空
◯アメリカを探して歩く秋の空
落葉
◯手の中の落葉に誰を想うかな
◯ギャラリーに落ち込むような落葉かな
◯ヴィンテージショップの如き落葉かな
◯ヴィンテージショップの如く落葉掃き
◯アメリカの時代を残す落葉かな
◯照明に照されてをる枯葉かな
◯照明に灯されてをる枯葉かな
◯国立の図書館前の落葉掃
◯散紅葉顔付き合わせ夢の中
秋めく
◯秋めいて時計の針も駆け抜ける
◯秋晴に甘き匂いやママの味
◯散紅葉愛する人も想ふかな
秋の暮
○素っ気ないハンバーガーや秋の暮
○百年の香りを落とす秋の暮
暮の秋
◯才能を見出だされ立つ暮の秋
行く秋
◯行秋や街そのものがコンサート
◯行く秋にランタンの灯とお菓子かな
紅葉且つ散る
◯紅葉且つ散るや誰もが夢の中
竜胆
◯しばらくは竜胆といふ花やあり
鬼灯
◯鬼灯や閉じ込められて宿のとこ
猿酒
◯猿酒に語り尽くせぬ光かな
夏
○ゆったりとアラブのティーに夏を知る
○ゆったりとアラブの菓子に夏を知る
○イスラムのこぼれて夏の光かな
○イスラムの調和のとれた夏の飯
○イスラムのミントや夏がぬけてくる
○港までとどけアフリカ夏の旅
夏めく
○夏めいてアラブの菓子や街の中