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あたまが痛いので一度やめようとして作品つくるよい日に^^湧く湧くより^^(いままたかき氷一句)
杏子
○かわいらしい杏子のやうな男の子
○完熟の杏子の皮やくちで剥く
○欠伸して杏子や友と密にせり
○黒髪のにぎる杏子のお姫様
五月
○水彩の筆を洗ひし五月かな
○水彩の黄緑あらふ風五月
新緑
○新緑や水面の玉を飛ばしをり
若葉
○暗闇の光のごとき若葉かな
○一遍の音の如くや若葉吹く
春の波
○金色の音やしずかに春の波
○銀色に暮れてやさしき春の波
青葉
○草原の緑のなかの青葉かな
春の水
○春の水ぬれて何もが新しき
○春水やこぼるるばかり縁をゆく
○春水や煌々として彦根城
桜
○晴天のダムに沈みし桜かな
○厳しさを嘘に嬉々せる桜かな
○阿弥陀仏うねりにふれて桜かな
○暁の涙のごときつつじかな
春の筍
○春筍や頭並べて夜の明ける
蕨
○飯うまき蕨やとうに遊びけり
薇
○薇や山形村の大名主
雛罌粟
○ポピーといふ少しおどけた女の子
桃の花
○黒姫にささめき落とす桃の花
○黒姫や色気づきたり桃の花
○黒姫の襦袢めくれて桃の花
○桃の花咲いて恥じらふ飯豊山
○カンバスを悠々と抱くミモザかな
○カンバスに子犬を連れてミモザかな
○フェリーよりミモザの君や南下せり
○ミモザ咲き農夫や妻に流れ去る
○牛飼いのむすめのごときミモザかな
○抱き締めてミモザやけふも色を増す
○抱き締めて誕生したるミモザかな
山桜
○清流の音にゆられて山桜
○風やなく名もなき沼に花筏
落花
○老木の幹や濡らして桜散る
菜の花
○菜の花や自慢の窯の釉薬
○菜の花にバスさよならと出合いかな
○菜の花や写真家の目に近代化
春
○単純なよろこびとなり里の春
春光
○春光やご褒美となる猫の鼻
蕗の薹
○純白の予知といふべき蕗の薹
春光
○春光や斜面下りて悪路なり
梅
○なにごとも異なるいろや梅の花
○悲しみも人それぞれや梅の花
○梅が香や胸に幾度も咲きにけり
○梅の花おのれひとりの名所かな
○一天に触手をのばす辛夷かな
○三角の山より高き辛夷かな
○一本の辛夷の道を帰りけり
○やまあららぎ山の青さをつかみをり
氷水
○太もものもちもち出してかき氷
○短めのスカート淡しかき氷
○後ろ髪引かるる思ひかき氷
○クレーンや空にいくつもかき氷
雪壁
○雪壁や甘きおとぎの隣国
○とりあえずイチゴを食べて雪の壁
一人静
○下るより登るがやすし一人静
○お不動の水一筋に二人静
春椎茸
○影やもうしつかりとあり春椎茸
紫雲英
○虫たちの衣となりし蓮華草
○蓮華草風や野に来て無農薬
○写真家のほころび癒えぬ蓮華草
チューリップ
○草原の湯に浮かべたりチューリップ
霞
○大杉や山のはじめも霞けり
○大阪の朝も霞みてブナの森
○若枝の白木蓮や黄光
日永
○永き日や花の活けたりほとけさま
○永き日や青き硝子の首飾り
○永き日のみやげビフカツサンドなり
長閑
○長閑さやほんに擦れたり裏表紙
○長閑さや原稿用紙白きまま
雛あられ
○真白の服におさげや雛あられ
○手の内の右より落ちて雛あられ
○肉削げて乾いた指の雛あられ
○雛あられたべて右手や猫の耳
----- Original Message -----
螢狩
○誰知らぬ隣り合わせや螢狩
簗
○山形の簗の話や母のこと
○手酌して簗瀬に帰る下り人
麗か
○うららかにほどよき波の戻りをり
○うららかやほどよき波の待ちてをり
○麗かや風にめくれてプリント地
○麗かやオール電化の行儀良き
○麗かに電気自動車しづかなり
○麗かや壁一面のスニーカー
○麗かや匙の向こうは海の理由
○麗かに壁一面の靴や園
○麗かに雨長靴やレモンいろ
○麗かや森にもたれて文庫本
○麗かや花柄好きな女の子
○麗かや装飾品は花のむかし
春愁プラス
茄子
○眺望を図面くわしく茄子かな
○一品の光のなかの茄子かな
○ことごとく油に滑る茄子かな
○水飲みて江戸紫の茄子かな
花
○味わいの花もかわらず日本海
○つつましや花のふれ合ふ日本海
海苔
○悠々と海苔のつづくや松の島
鵙
○この道やどこまでつづく鵙の声
○百舌鳥ないて社会の空や暮れゆかん
○居酒屋の暮るる都会やもずの声
○大衆の奢るる街やもずの声
春愁
○教室の波紋しずかや春愁
○春愁や目には聞こえぬ水の音
○春愁三日月同士やカフェの隅
○春愁や大正ロマンの色硝子
○春愁や合点のいくも髪切らず
○春愁や騙しのテクの中毒性
○春愁や必勝法もあらぬけり
○春愁やカラフルになり街のいろ
花曇
○新しき靴を替えたり花曇
香水
○香水や数敵の恋あらぬやも
○香水や数敵だけの創造神
○香水や答の知らぬ人のこと
○香水や小径のかべに迷いけり
○香水や頁をめくるごとくなり
○香水やとらわれること嫌いけり○目に見えぬ原風景や香水たつ
○香水やガラスを叩く雨の数
○談笑しふと香水のつかみをり
○香水や一滴の花抱えたり
桜
○栗おこわねばるみたらし桜かな
○数学の目元涼しき落花かな
○落花して領収書なりアスファルト
○数学の思いの数を桜かな
○数学を出でて二階の桜人
花見
○すぐにある日常のほら花の宴
○東北の歌も聞こえて花見かな
○静かなるやかんの声や花の宿
○ゆるやかに香る街角さくら狩
天道虫
○たまさかな情事となりし天道虫
○天道虫猫にとられて向島
○栄養の瓶に蓄え天道虫
○名人の目元口元天道虫
金亀子(こがねむし)
○下町をすこし上より金亀子
○挨拶もそこそこにして金亀子
○食品のサンプルすべて金亀子
○かなぶんや地下改札に迷いけり
○かなぶんや大入となり演芸場
蟹
○社説には食いしん坊や蟹の足
○新しき時計の針や蟹の足
○狂言の隙間にうごく蟹の脚
葱坊主
○葱坊主未曾有なことの夜となり
○葱坊主未曾有なことの思ひけり
○葱坊主無常な夜を過ごしけり
蜃気楼
○静かさに赤子泣きたり蜃気楼
メロン
○静かなる銀座通やメロン食ぶ
○袖を引く女の脚やメロン食ぶ
いさき
○物云わずいさきの腹や真味あり
白魚
○白魚や光の水をすくひけり
鮎
○黄金の雨の女王や魚籠の鮎
平鰤
○平鰤や太く目張りの役者ぶり
鯵
○夕鯵の趣あるや石の道
飛魚
○飛魚やまん丸の目の澄みにけり
○飛魚や高校前の夜のふかさ
○飛魚や長いホームに紐結ぶ
初鰹
○俎板に到来したり初鰹
○青春を板あらひけり初鰹
○小田原に差し掛かりける初鰹
○初鰹北鎌倉に電車来る
蝶
○歌うたふ少女のごとき胡蝶かな
○たずねても大空に吹きこむ胡蝶かな
○初蝶や雲の端よりちぎれ落つ
○目覚めたる指の又より春の蝶
○目の覚めて少し遅るる春の蝶
○目の覚めて遅速いたすや春の蝶
蚕豆
○蚕豆の尻ならびたる小鉢かな
郭公
○郭公や東にひさし西阿弥陀
○郭公や東ひさし西阿弥陀
○郭公や誰ひとりゆく古里に
○郭公や問いも答ものんびりす
○郭公や生きうることの雫なり
○郭公や赴くままに向いてをり
夏めく
○夏めいて煮込料理のカウンター
○夏めいてグルメライター気取りなり
五月
○何気なく腕のふれたる五月かな